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高機能性塗料設計技術 ソリューションパートナー

高機能性塗料コラム

 第32回、スプレー塗装にもいろいろあるんです。

 

投稿日:2020/10/19

 

 

 こんにちは。「こんな塗料できないの?」に私たちが答えます。

高機能性塗料設計技術ソリューションパートナーの迫田(さこだ)です。

 今回より2回にわたって塗装の中でも産業分野で多く用いられるスプレーを

用いた塗装方法について、またスプレー塗装で起こる欠陥と対策について、

お話しさせていただきます。

 

 みなさんは塗装をしたことがあるでしょうか?

塗装といっても色々な方法がありますが、刷毛塗りやローラー塗りのように

塗料を直接塗る方法と、スプレー塗りのように塗料を微粒子の霧にして

噴霧する方法の2つに大きく分けられます。

それぞれの塗装方法には特徴があり、作業の効率、塗料の種類や性状、

塗装するモノの大きさや形状、塗装する場所や環境によって、最適な塗装方法を選択します。

 

 塗料を直接塗る方法は刷毛塗りやローラー塗りの他にも、

塗料が入った容器に被塗物を漬けて引き上げる浸漬塗り(ディッピング方式)や、

ロールコーターなどの機械を使用する液膜転写法といった塗装方法があります。

これらの塗装方法は塗料を直接塗るので無駄なく使うことができますが、

複雑な形状のモノに薄く綺麗に仕上げることは難しい方法とされています。

 

 ここからは、ちょっと専門的になりますが、多くの産業分野で広く活用されるスプレー塗りについて

お話しします。スプレー塗りは、塗料を様々な方法で霧化して吹き付ける塗装方法で、

霧化方式の違いで図1に示したように、

エアスプレー方式、エアレススプレー方式、静電スプレー方式の3つに大別されます。

・エアスプレー方式は、塗料をスプレーノズルの先端で高速の空気流と衝突させて霧化する方式です。

・エアレススプレー方式は、塗料自体に高圧をかけて小さなノズルから吹き出すことで、

 大気と衝突させ霧にします。

・静電スプレー方式は、ノズル先端で塗料に電圧をかけて塗料粒子をマイナスに帯電させると同時に

 被塗物との間に静電気による電界を設けて、塗料を電気的に被塗物に付着させる塗装方法です。



 以下、エアスプレー方式、エアレススプレー方式、静電スプレー方式の順番で、

それぞれの塗装方式の特徴を説明いたします。

 

●エアスプレー方式

 エアコンプレッサ等によって作られた圧縮空気により塗料を霧化して吹きつける方式で、

人が塗る場合には、図2に示すようなエアスプレーガン(ハンドガン)を用います。

1920年代に実用された方式で約100年の歴史があり、汎用性が高いため現在でも主流の塗装方式です。

塗装を可能とする対象物の形状、使用できる塗料の種類が多く、ムラがなく美しく仕上がります。

 

 

 送り込まれた圧縮空気は、塗料ノズルの出口(噴出口)とガンキャップの側面空気穴(角穴)へと分かれます。

ガンキャップの中心空気穴と補助空気穴から噴出する空気が塗料を霧化し丸形のスプレーパターンを作り、

側面空気穴から空気が噴出されることでスプレーパターンを丸形から楕円形に変形させています。

そのため、ガンキャップの角を縦方向にすると横型の楕円パターン、

角を横方向にすると縦型の楕円パターンとなって進行し塗着します。

産業用の塗装ロボットシステムに使用されている自動ガンも、

ハンドガンと形状は異なりますが塗料を霧化する仕組みは同じものです。

塗料に対する空気の容量比が大きいほど霧の粒子は小さくなり仕上がりの外観は良くなりますが、

塗料粒子の飛散により塗着率が低下するといったデメリットもあります。

エアスプレー方式の一般的な塗着率は30%程度で、約70%の塗料は無駄になりコストがかさみます。

また、特に有機溶剤を希釈剤とする溶剤系塗料の場合、約70%の非塗着分中の

VOC(Volatile Organic Compounds、揮発性有機化合物)を出来るだけ環境に排出させないような

塗料・塗装設備(塗装ブース等)面での工夫が必要です。

(なお、この工夫は、エアスプレーよりも塗着率の高い後述のエアレススプレーや静電スプレーであっても同様)

 

●エアレススプレー方式

 塗料自体に高圧力をかけて射出し・霧化して吹き付ける方式で、

エアスプレー方式と比較して空気を使いません。ホースを使って水を撒く際に先端を指で押さえて

水を霧状にするのと同じ原理です。エアレススプレー方式はエアスプレー方式と比較して空気を含まないため、

塗料の飛散が少なく、塗料の塗出量も多くなり一回の塗装で厚塗りが可能になります。

その作業効率性や特徴を活かし、特に広い面積の木工、建築、一般金属、鉄骨、橋梁、車両、船舶分野などで

活用されています。反面、小さいモノの塗装は不向きで、またエアスプレー方式と比べ

塗料の微粒化能力が落ちるため、塗装面が荒れやすいといったデメリットがあります。

 

 

●静電スプレー方式

 スプレーガンに電圧をかけて塗料側を負極(-)に帯電させ、アースされた正極(+)の塗装対象物へ

塗装する方式で、エア、エアレス方式で霧化する方法と、カップ内で高速回転させて塗料を霧化する

回転霧化方式(ベル型方式)があります。回り込んだ部分への塗装も行えることで塗料のロスが少なく、

使用するスプレーガンによって80%以上の塗着効率を達成、自動車ボディの塗装ラインで

実用されている方式です。優れた塗装性能を誇りますが、導入には設備のコストが高く、

高電圧を利用する方式のため感電や火災のリスクもあるため、十分な安全対策が必要です。

 

 ここまでスプレー塗りの3つの方式についてメリットやデメリットをまじえて解説しました。

スプレー塗装は、高い汎用性による手軽さと塗面の仕上がりの良さから、

多くの材料・部品に塗装する方法として利用されていますが、

高い品質を得るためには塗装の際に欠陥(不良)が起きないように注意する必要があります。

 次回は、最も一般的なエアスプレー方式を例にとり、スプレー塗装で起きやすい欠陥と対策について

お話しさせていただきます。

 

<参考資料>

1)扶桑精機株式会社ホームページ 技術コラム(参照2020/10/11)

2)株式会社土屋製作ホームページ (参照2020/10/11)

 

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