MENU

高機能性塗料設計技術 ソリューションパートナー

塗料お問い合わせ0467-74-6550代表電話:0467-75-1515

お問い合わせ

高機能性塗料コラム

 第30回、LEDって照明だけじゃないんです。

 

投稿日:2020/8/24

 

 

 こんにちは。「こんな塗料できないの?」に私たちが答えます。

高機能性塗料設計技術ソリューションパートナーの土井です。

 

これまでのコラムでも、

UV硬化型コーティング剤の技術や製品紹介をさせていただき、 

(例えば、第16回の「熱硬化塗料からUV硬化塗料へ」

UV硬化型コーティング剤は、「UV硬化装置がコンパクトで、

秒単位の短時間で硬化するので、省スペース・省エネルギーであり、

乾燥・硬化工程から発生するCO2削減にも有用な環境配慮塗料」

であることのお話しをいたしました。

 

 今回と次回コラムの2回にわたっては、最近、照明器具などでも身近になったLEDをUV硬化に適用させ、

環境配慮塗料としてさらに進化したUV-LED硬化型コーティング剤について、解説いたします。

  

〇従来の光源:UVランプについて

 まず、UV照射装置に従来から使用されているUVランプについて説明いたします。

UVランプとして代表的なものを表1に示しました。 

その中でも、紫外線の放射効率、出力、照射面積などの観点から、

UV硬化用には高圧水銀灯もしくはメタルハライドランプが主に使われています。




 これら二つのランプは、石英ガラス製の発光管の中に水銀(+その他金属)を封入して、

外部エネルギーを加え金属を蒸気化することで発光させています。

ランプは発光させる金属やその蒸気圧によって種々のエネルギー分布を示すため(図1)、

UV硬化型コーティング剤に含まれる光開始剤や樹脂の吸収特性に見合った光源を選択することができます。


 

 このように、ランプが発する光を必要に応じた波長域に設定でき、瞬時に硬化することが出来ることは、

UV硬化型コーティング剤は、産業用途で幅広く使用されるようになった理由の一つと言えます。(図2)


しかし近年では、水銀使用に対する環境規制や省エネルギー化の観点から、

一部の用途ではUVランプからUV-LEDへの置き換えが急速に進められています。

 

〇新しい光源:UV-LEDについて

 室内蛍光灯でもLED照明が増えて、身近に感じることが多くなったLEDですが、

どのようなメリットがあるか皆さんご存じでしょうか?

LED照明でも「省エネ」、「長寿命」などといった謳い文句をよく目にしますね。

LEDは電気を直接光に変化させるという原理を用いているため、消費電力が少なく、

光源自体の劣化をほぼ無くすことができています。

 

そして、LEDをUV光源として用いる場合も、同じようにこのメリットがあります。

表2にUVランプとUV-LEDの比較を示します。


 

消費電力が少ないことに加えて光源の寿命が長いことから、光源の交換頻度が減り、

メンテナンスにかかる時間、ひいてはランニングコストを大幅に減らすことができます。

また瞬時に点灯が可能であることから、照射を必要とする瞬間のみONにすることで、

点灯時間自体を減らすことができ、これも消費電力の削減につながります。 

これらは全てコストに関わるメリットですが、

UV-LED光源を用いると特にフィルム用途でのメリットがあります。

それは照射熱が少ないことです。

 

 最近、お客様より、「薄いフィルム基材や耐熱性の低いフィルム基材に塗装したい」

などといったご要望を受けることが多くなってきました。

このような基材に対して、UV-LEDは非常に有用です。 

図3に、薄いオレフィン系フィルム(25µm)へUVランプもしくはUV-LEDの光を当てた際の外観を示します。 


 

 UV-LEDでは外観に変化が確認されないのに対して、UVランプではシワの発生が確認できるかと思います。

UV照射でかかる熱で不具合を感じている方がおられましたら、この際UV-LEDを検討してはいかがでしょうか。

これまでUV-LEDのメリットを挙げてきましたが、実用化への課題(デメリット)についても説明いたします。

 

〇UV-LEDの課題

 表2に記載しておりますが、UV-LEDの課題は、単一波長であることから、

高圧水銀灯と比べると圧倒的に光の強度が低下します。

また一般的に短波長の光は塗膜の表面硬化、365nmより長波長の光は、

内部硬化に優れていることが知られており、UVランプでは幅広い波長分布をもつため、

表面・内部ともに硬化させることができます。

 一方、UV-LEDは、図4に示すように単一波長で波長の分布を持たないため、

UV硬化型コーティング剤に含まれる光開始剤の吸収波長との重なり合いが少なく、UV硬化性が劣ります。


 

 

 このようにUV-LEDは、環境面やコスト面から非常に有用な光源と言えますが、

UV硬化型コーティング剤への適用としては、硬化性の面で従来ランプより劣ります。

 

〇UV-LED硬化型コーティング剤について

 当社では、これまでに培ってきたUV硬化の知見をもとに樹脂構造や開始剤種の最適化をはかり、

UV-LEDで硬化するコーティング剤を開発しました。表3に当社従来品との比較を示します。



  

従来品はUV-LED光源では硬化不足となりますが、開発品はUV-LEDの硬化性に優れています。


 現在、従来品が適用されている色々な用途への適用の可能性を検討中です。

次回のコラムでは、それらの検討結果を紹介させていただく予定です。

 

<参考文献>

1)ウシオ電機株式会社ホームページ「ウシオ電機のUV硬化システム」(参照2020年8月)

 

2)アイグラフィックス株式会社ホームページ「UV硬化システムとは」(参照2020年8月)

 

3)末岡晶作:東亞合成研究年報 TREND 第22号、7-1~7-4(2019)

お気軽にお問い合わせください

お問い合わせ

0467-74-6550

受付時間 平日8:30~17:00

  • お問い合わせ

コラム

PAGETOP