高機能性塗料コラム
第13回、やっぱり中身は気になりますよね?
投稿日:2019/3/19
![](https://www.nippon-kako.co.jp/img/kato.jpg)
こんにちは。「こんな塗料できないの?」に私たちが答えます。
高機能性塗料設計技術ソリューションパートナーの加藤です。
日用品の包装用途で重要な役割を担っているブリスターパック及び
ブリスターパック用接着剤について2回にわけて説明いたします。
それではまずブリスターパックについて説明いたします。
以下の写真をご覧ください。
皆さんもこのように紙とプラスチックフィルムで商品を保護するパッケージを
ご覧になったことがあるかと思います。
この包装形態のことをブリスターパックと言いますが、
この中でプラスチックフィルムと紙を接着している接着剤が、
本コラムで紹介するブリスターパック用接着剤です。
ブリスターパックの利点としては、商品そのものが見える包装であることと、
パッケージの台紙として使用される紙に印刷したインパクトのあるキャッチフレーズや
グラフィックで消費者の購買意欲を高められることがあります。
さらに、プラスチックの成型を工夫することで、吊り下げタイプと置くタイプの陳列が可能です。
この両陳列方式に対応していることは、コンビニエンスストアやドラッグストアなどの小売店で
陳列される可能性をぐっと高めます。他にも、パッケージで包まれているため
商品にいたずらしにくくなるなどの利点があり、
ブリスターパックは様々な日用品のパッケージとして広く使用されています。
〇ブリスターパックの構成
先ほど、ブリスターパック用接着剤はプラスチックフィルムと紙を接着していると説明しました。
しかし、ブリスターパックに用いられる紙には、ほとんどの場合、文字や絵が印刷されています。
そのため、ブリスターパック用接着剤は、プラスチックフィルムと紙だけでなく、
インキとも密着する必要があります。
ブリスターパックの構成と商品パッケージングのイメージを下記に示します。
![](https://www.nippon-kako.co.jp/img/BP3.png)
パッケージの作成工程としては、あらかじめ印刷した紙に、
ブリスターパック用接着剤の塗液を全面塗装し、乾燥させます。
その後、プラスチックフィルムのくぼみに商品をセットし、熱板を押し当てて、
ブリスターパック用接着剤層とプラスチックフィルムを熱接着させることでパッケージとなります。
感熱接着剤なので常温ではタック性(粘着性)が無いため、
全面に塗装しても商品を汚したりパッケージ同士がくっついたりすることはありません。
また、印刷の上に塗装して、紙の表面に光沢を与えパッケージの見栄えを良くする効果もあります。
〇必要な機能
まず、ブリスターパック用接着剤に一番重要な接着(密着)性能である下記①②について説明します。
この性能が不十分な場合、パッケージング後の流通過程などで商品の脱落が発生し、
クレームにもなってしまいます。
①紙・インキ密着性:紙やインキ印刷面に浸透し、強く密着する。
②プラスチック密着性:プラスチックとの熱接着で、強く接着する。
次に示す下記③④⑤は、見栄えやパッケージング工程を考慮した際に必要な機能です。
③光沢などの塗膜外観:印刷面(商品情報)をきれいに見せるために光沢の高いこと。
④耐スクラッチ性:塗装紙どうしがこすれて傷つかないこと。
⑤耐ブロッキング性:塗装紙を重ね置きした際にくっつかないこと。
ここまでお読みいただきありがとうございます。
1回目となる本コラムではブリスターパックをパッケージとして採用する利点や
ブリスターパック用接着剤の基本的な機能について説明いたしました。
次回はブリスターパック用接着剤のバリエーションと最近の動向について説明します。