高機能性塗料コラム
第21回、UV硬化だから基材のダメージも少ないんです!
投稿日:2019/11/18
こんにちは。「こんな塗料できないの?」に私たちが答えます。
高機能性塗料設計技術ソリューションパートナーの大久保です。
今回は、キャリアフィルムやセパレーターといった離型フィルムに用いられる
UV硬化型の離型コーティング剤について解説いたします。
第2回、第3回のコラムで熱硬化型の離型コーティング剤についてご紹介した際、
たくさんのご意見・ご要望を頂きました。ありがとうございます。
・高機能性塗料コラム「第2回、なんでくっつかないの?」
・高機能性塗料コラム「第3回、何故ノンシリコーンではがれるの?」
今回は、「こんな塗料できないの?」と頂いたご意見・ご要望に
お応えした塗料をご紹介いたします。
Q1.「もっと生産性を向上できないの?もっとエネルギーコストを削減できないの?」
A1.「UV硬化離型コーティング剤FA-9010をご提案します!」
第16回のコラムでUV硬化塗料を紹介させていただきました。
生産性の向上を達成できるプロセスからの提案になります。熱硬化からUV硬化プロセスへの変更です。
装置がコンパクトで、秒単位の短時間で硬化するので、省スペース・省エネルギーであり、
かつ熱硬化工程から発生するCO2削減にも有用な環境配慮プロセスとも言えます。
このたび、当社の強みである「紫外線(UV)硬化樹脂フォーミュレーション」技術を応用して、
生産性を格段に向上させることができるUV硬化型のノンシリコーン離型コーティング剤を開発しました。
これまでの熱硬化離型コーティング剤は150℃-30秒という硬化条件が一般的なため、
薄いフィルム基材では熱によるダメージで変形等が見られるため使用できませんでしたが、
UV硬化型にすることで、100℃-10秒の予備乾燥後にUV照射 1秒(250mW/cm2 – 100mJ/cm2)で
硬化するため適用可能となりました。
Q2.「もっと剥離強度の軽いノンシリコーン離型コーティング剤はできないの?」
A2.「UV硬化離型コーティング剤FA-9020をご提案します!」
シリコーン離型コーティング剤は、安価で剥離強度が低いため、幅広く使われております。
しかし、剥離後の粘着剤に低分子シロキサンが移行し、
電子部品に悪影響を及ぼす可能性があると言われております。
今回、シリコーンを使用せず、電子部品に悪影響を与えにくいフッ素を適用した
UV硬化離型コーティング剤FA-9020を開発いたしました。
従来品のTOMAX FS-9200L(熱硬化型)の剥離強度(550mN/25mm)でしたが、
UV硬化型の「TOMAX FA-9020」は、180mN/25mm(※)という低い剥離強度で剥がすことができます。
Q3.「加熱しても剥離強度が変わらない離型コーティング剤はできないの?」
A3.「UV硬化離型コーティング剤FA-9030をご提案します!」
離型フィルムはその特性上、次工程の上塗り後に、熱がかかる工程があります。
熱がかかる事により粘着剤と離型コーティング層との間の相互作用が強くなり、剥離強度が高くなります。
今回開発したFA-9030は、常態の剥離強度が5,200mN/25mm(※)に対し
加熱(150℃-1h)後においても5,500mN/25mm(※)と、
熱が加わっても剥離強度が変化しにくい離型コーティング剤です。
表1,UV硬化型TOMAX FA-9000シリーズのラインナップ
製品名 | 硬化系 |
離型成分 |
剥離強度(※)「mN/25mm」 |
特長 | |
---|---|---|---|---|---|
常態 |
耐熱 | ||||
FS-9200 | 熱硬化 | アルキル鎖系 | 550 | 4,000 |
軽剥離 |
FA-9010 | UV硬化 | アルキル鎖系 | 700 | 8,000 | |
FA-9020 | UV硬化 | フッ素系(※) | 180 | 3,000 |
軽剥離 |
FA-9030 | UV硬化 | フッ素系(※) | 5,000 | 5,200 |
重剥離 耐熱性 |
・剥離条件 31Bテープ(日東電工), T型剥離, 剥離速度300mm/min
・(※)PFOS、PFOAは含有しておりません。
※本コラムは2019年11月現在のデータを基に作成しております。
ご紹介しておりますUV硬化剤離型コーティング剤「FA-9020.9030」は
現在は廃番となっております。ご了承ください。
なお、今回ご紹介しましたUV硬化離型コーティング剤「TOMAX FA-9000シリーズ」は、
2019年12月4日から、幕張メッセで開催されます「第10回高機能フィルム展」に出展いたしますので
是非とも当社ブースへお越しいただければ幸いです。
次回は、「加飾成形用ハードコート」について高機能性材料部の上窪より紹介させていただきます。